お金の算数

ローンや資産運用について数学的見解を交えて考察しています

ラグランジュ乗数法を用いた効率的フロンティアの導出

前回の記事でポートフォリオ理論における「効率的フロンティア」を数式で説明しました。

 

dic-eft-sr3.hatenablog.com

 

  • 効率的フロンティア
{ \displaystyle \begin{equation} \min_{W}W^TSW \end{equation} }

 

s.t.
k=W^TR
W^T\boldsymbol{1}=1

 

これは目的関数である{ \displaystyle \begin{equation} \min_{W}W^TSW \end{equation} }と制約条件であるk=W^TR及びW^T\boldsymbol{1}=1を明示したにすぎません。最終的な目的としては、上記の制約条件を満たしつつ、目的関数(ここではポートフォリオの分散)が最小となる構成比率のベクトルWを求めることです。

 

この問題のように条件が与えられているもとで、ある関数の極値を求めることを「条件付き極値問題」といいます。このときの解決方法として有力になるのが「ラグランジュ乗数法」です。この記事では上記に示したポートフォリオ理論における効率的フロンティアの導出をラグランジュ乗数法を用いて解いていきます。

 

 

ラグランジュ関数を作り、偏微分してゼロと置く

先に示した効率的フロンティアの最適化条件から、ラグランジュ関数を作ると以下のようになります。

 

\begin{eqnarray}L(W,λ_1,λ_2)=W^TSW+λ_1(k-W^TR)+λ_2(1-W^T\boldsymbol{1})\tag{1}\end{eqnarray}

 

この式(1)をそれぞれW,λ_1,λ_2偏微分します。

 

\frac{∂L}{∂W^T}=2SW-λ_1R-λ_2\boldsymbol{1}=\boldsymbol{0^T}\tag{2}

 

\frac{∂L}{∂λ_1}=k-W^TR=0\tag{3}

 

\frac{∂L}{∂λ_2}=1-W^T\boldsymbol{1}=0\tag{4}

 

式(2)を「W=~」となるように式変形します。

 

W=\frac{1}{2}λ_1S^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2S^{-1}\boldsymbol{1}\tag{5}

 

式(5)に左からRを掛けます。

 

R^TW=\frac{1}{2}λ_1R^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2R^TS^{-1}\boldsymbol{1}

 

制約条件よりW^TR=R^TW=kとなるので以下の式を得ます。

 

k=\frac{1}{2}λ_1R^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2R^TS^{-1}\boldsymbol{1}\tag{6}

 

また、同じく式(5)に左から\boldsymbol{1}を掛けます。

 

\boldsymbol{1}^TW=\frac{1}{2}λ_1\boldsymbol{1}^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2\boldsymbol{1}^TS^{-1}\boldsymbol{1}

 

制約条件よりW^T\boldsymbol{1}=\boldsymbol{1}^TW=1となるので以下の式を得ます。

 

1=\frac{1}{2}λ_1\boldsymbol{1}^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2\boldsymbol{1}^TS^{-1}\boldsymbol{1}\tag{7}

 

 

λ_1λ_2の値を求める

 式(6)、(7)より以下のような2元連立方程式が得られます。

 

\left\{ \begin{array}{ll} \frac{1}{2}λ_1R^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2R^TS^{-1}\boldsymbol{1}=k\\ \frac{1}{2}λ_1\boldsymbol{1}^TS^{-1}R+\frac{1}{2}λ_2\boldsymbol{1}^TS^{-1}\boldsymbol{1}=1 \end{array}\right.

 

これを行列によって表現します。

 

\begin{pmatrix} {R^TS^{-1}R } \; {R^TS^{-1}\boldsymbol{1}} \\ {\boldsymbol{1}^TS^{-1}R } \; {\boldsymbol{1}^TS^{-1}\boldsymbol{1}} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {\frac{1}{2}λ_1} \\{\frac{1}{2}λ_2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} {k} \\{1} \end{pmatrix}\tag{8}

 

 わかりやすくするために係数行列の要素を他の文字に置き換えていきます。

係数行列の非対角要素である「R^TS^{-1}\boldsymbol{1}」と「\boldsymbol{1}^TS^{-1}R」は同じ値になっているので、これを「A」と置きます。

 

A=R^TS^{-1}\boldsymbol{1}=\boldsymbol{1}^TS^{-1}R

 

また、係数行列の左上、右下それぞれの要素を以下のように置きます。

 

B=R^TS^{-1}R

 

C=\boldsymbol{1}^TS^{-1}\boldsymbol{1}

 

上記の表現を使って、式(8)を置き換えると

 

\begin{pmatrix} {B } \; {A} \\ {A } \; {C} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {\frac{1}{2}λ_1} \\{\frac{1}{2}λ_2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} {k} \\{1} \end{pmatrix}

 

となります。λ_1λ_2に掛けられる\frac{1}2は以下のように移項することができます。

 

\begin{pmatrix} {B } \; {A} \\ {A } \; {C} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {λ_1} \\{λ_2} \end{pmatrix}=2\begin{pmatrix} {k} \\{1} \end{pmatrix}\tag{9}

 

また、以下のような係数行列の行列式を作ることができます。

 

D=BC-A^2\tag{10}

 

以上の数式を使い、λ_1λ_2を求めましょう。

式(9)に\begin{pmatrix} {B } \; {A} \\ {A } \; {C} \:\end{pmatrix}逆行列を掛けます。

 

{\frac{1}D}\begin{pmatrix} {C } \; {-A} \\ {-A } \; {B} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {B } \; {A} \\ {A } \; {C} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {λ_1} \\{λ_2} \end{pmatrix}={\frac{2}D}\begin{pmatrix} {C } \; {-A} \\ {-A } \; {B} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {k} \\{1} \end{pmatrix}

 

これを解いていきます。

 

\begin{pmatrix} {1 } \; {0} \\ {0 } \; {1} \:\end{pmatrix}\begin{pmatrix} {λ_1} \\{λ_2} \end{pmatrix}={\frac{2}D}\begin{pmatrix} {kC-A} \\ {-kA+B} \:\end{pmatrix}

 

\begin{pmatrix} {λ_1} \\{λ_2} \end{pmatrix}=\begin{pmatrix} {\frac{2(kC-A)}D} \\ {\frac{2(B-kA)}D} \end{pmatrix}

 

よって、λ_1λ_2は以下のように求めることができます。

 

\begin{eqnarray}\left\{ \begin{array}{ll} λ_1=\frac{2(kC-A)}D \\ λ_2=\frac{2(B-kA)}D \end{array}\right.\end{eqnarray}\tag{11}

 


最適なポートフォリオの構成比率ベクトルWの式を導出する

 式(11)を式(5)に代入すると最適なポートフォリオの構成比率のベクトルWが以下のように示すことができます。

 

W=\frac{1}{2}{\frac{2(kC-A)}D}S^{-1}R+\frac{1}{2}{\frac{2(B-kA)}D}S^{-1}\boldsymbol{1}

 

W={\frac{(kC-A)}D}S^{-1}R+{\frac{(B-kA)}D}S^{-1}\boldsymbol{1}\tag{12}

 

また、この式(12)をkに関して整理すると

 

=\frac{kC(S^{-1}R)-A(S^{-1}R)+B(S^{-1}\boldsymbol{1})-kA(S^{-1}\boldsymbol{1})}{D}

 

=\frac{B(S^{-1}\boldsymbol{1})-A(S^{-1}R)}D+k{\frac{C(S^{-1}R)-A(S^{-1}\boldsymbol{1})}D}

 

となり、「\frac{B(S^{-1}\boldsymbol{1})-A(S^{-1}R)}D=\boldsymbol{h}」、「{\frac{C(S^{-1}R)-A(S^{-1}\boldsymbol{1})}D}=\boldsymbol{g}」に置き換えると以下の式(13)ようなkに関する一次式になることがわかります。

 

W=\boldsymbol{g}+\boldsymbol{h}k\tag{13}

 

 \boldsymbol{g}や \boldsymbol{h}は既知である、それぞれの資産によるリターンやリスクを代入すれば求まります。最低限達成したい平均リターンk決めればポートフォリオの構成比率を式(13)で計算できます。

 

 

 

 

現代ポートフォリオ理論のベクトルと行列による表現

前回は2つの資産から構成されたポートフォリオについて考察してきました。続いて複数の資産から構成されるポートフォリオについてみていきましょう。

 その前にポートフォリオのリターンやリスクをベクトルや行列を用いて表現する方法について説明していきたいと思います。複数のポートフォリオをベクトルや行列を使わずに説明するのは、非常にまどろっこしくなってしまうからです。

前回の記事で解説したポートフォリオの平均リターンや分散は以下のように示しました。

 

  • 二つの資産株式1と株式2がそれぞれw_1w_2の比率で構成されるポートフォリオの平均リターン

 

E({r_p})={w_1}{E({r_1})}+{w_2}{E({r_2})}

 

 

  • 二つの資産株式1と株式2がそれぞれw_1w_2の比率で構成されるポートフォリオの分散

 

V({r_p})={w_1}^2{V({r_1})}+{w_2}^2{V({r_2})}+2{w_1}{w_2}Cov({r_1},{r_2})

 

2つの資産だけでもこれだけややこしくなってしまいます。しかし、これらをベクトルや行列を使ってポートフォリオの平均リターンや分散を表現すると以下のようになります。

 

平均リターン

W^TR

 

分散

W^TSW

 

はじめに示した式に比べると、非常に簡潔になってしまいました。しかも、これらの式はポートフォリオの構成される資産がいくつだろうと変わりません。本当にこれらの式が先に示した式と同じことを意味しているのか実感がわかないと思いますが、この記事を最後まで読んでいただければわかっていただけると思います。

それでは、ベクトルや行列を使って表現できるようにn個の資産から構成されるポートフォリオの平均リターンや分散をベクトルや行列を使って解説していきます。

 

平均リターン

資産が株式1から株式nあり、それぞれ構成比率w_1からw_nで構成されるポートフォリオの平均リターンは以下の式で示されます。

 

E({r_p})={w_1}{E({r_1})}+{w_2}{E({r_2})}+{・・・}+{w_n}{E({r_n})}

 

これをΣを使った式に直すと以下のようになります。

 

E(r_p)=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n} {{w_i}E(r_i)}}

 

 資産が大量にあった場合Σを使わずに式を書くと手間がかかりますが、Σを使うと簡潔に表現できます。ここからさらにベクトルを使っていきましょう。

まず、以下のようにそれぞれの平均リターンや構成比率をベクトルとして表現します。

 

W=\begin{pmatrix} {w_1} \\\ {w_2} \\\ {:} \\\ {w_n}\end{pmatrix}

 

R=\begin{pmatrix} {E({r_1})} \\\ {E({r_2})} \\\ {:} \\\ {E({r_n})}\end{pmatrix}

 

また、上記のような縦ベクトルを横ベクトルに書き直すこと、または横ベクトルを縦ベクトルに書き直すことを転置と呼びます。ベクトルの記号に上付きでT(転置する=transpose)をつけて表します。

 

 {W^T} = ( {w_1} \; {w_2} \; {…} \: {w_n} \:)

 

 一方のベクトルを転置して1×n行列、他方のベクトルをn×1行列と考えて、それぞれの要素を掛け算して足していく計算が内積の計算となります。内積を計算した結果はベクトルではなく、普段使っている数(ベクトルに対しスカラーと呼ばれます)になります。

 

{W^T}{R}={( {w_1} \; {w_2} \; {…} \: {w_n} \:)}{\begin{pmatrix} {E({r_1})} \\\ {E({r_2})} \\\ {:} \\\ {E({r_n})}\end{pmatrix}}

 

={w_1}{E({r_1})}+{w_2}{E({r_2})}+{・・・}+{w_n}{E({r_n})}=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n} {{w_i}E(r_i)}}

 

計算結果を見てわかるように、構成比率のベクトルと平均リターンのベクトルはポートフォリオでの内積は平均リターンを示しています。

 

分散

 続いて分散についてみていきましょう。先ほど二つの資産から構成されるポートフォリオの分散を示しました。

 

V({r_p})={w_1}^2{V({r_1})}+{w_2}^2{V({r_2})}+2{w_1}{w_2}Cov({r_1},{r_2})

 

 計算の説明を簡潔にするために、計算で使う文字を以下のように定義しておきます。

 

  • V({r_p})={{s_p}^2}・・・ポートフォリオの分散
  • V({r_1})=s_{11}・・・株式1の分散
  • Cov({r_1},{r_2})=s_{12}・・・株式1と株式2の共分散

 

したがって、ポートフォリオの分散を書き直すと以下のようになります。

 

{{s_p}^2}={w_1}{w_1}{s_{11}}+2{w_1}{w_2}{s_{12}}+{w_2}{w_2}{s_{22}}

 

 計算の順番を変えたり、二乗をあえて使わないのは、のちの計算で分かりやすくするためです。ここでさら共分散についてみると

 

{w_1}{w_2}{s_{12}}={w_2}{w_1}{s_{21}}

 

 となります。このことを利用してさらに式を以下のように変形します。

 

=[{w_1}{w_1}{s_{11}}+{w_1}{w_2}{s_{12}}]+[{w_2}{w_1}{s_{21}}+{w_2}{w_2}{s_{22}}]

 

 四角の括弧でくくった中の式をΣで表現します。

 

=\displaystyle{\sum_{j=1}^{2} {{w_1}{w_j}}{s_{1j}}}+\displaystyle{\sum_{j=1}^{2} {{w_2}{w_j}}{s_{2j}}}

 

続けて、Σのかたまり自体もΣでまとめてしまいます。

 

=\displaystyle{\sum_{i=1}^{2} {\displaystyle{\sum_{j=1}^{2} {{w_i}{w_j}}{s_{ij}}}}}

 

上記の式がΣで示されたポートフォリオの分散です。もちろん、仮に資産がn個あったとすれば、nの資産から構成されるポートフォリオの分散を以下のように計算できます。

 

=\displaystyle{\sum_{i=1}^{n} {\displaystyle{\sum_{j=1}^{n} {{w_i}{w_j}}{s_{ij}}}}}

 

 しかし、Σでまとめたとはいえ、二つもΣが重なっており、文字の添え字も少々ややこしく思えます。そこで先ほどの平均リターンをベクトルで表現したように、分散もベクトルと行列を使って簡潔に表現できるように試みましょう。

ここでも同じく、内積の計算をするのですが、構成比率のベクトルは先ほどと同じように定義します。

 

W=\begin{pmatrix} {w_1} \\\ {w_2} \\\ {:} \\\ {w_n}\end{pmatrix}

 

分散・共分散については以下のようなn×n行列で表します。

 

S=\begin{pmatrix} s_{11} \; s_{12} \; {…} \: s_{1n} \: \\ s_{21} \; s_{22} \; {…} \: s_{2n} \: \\ {:} \; {: } \; {…} \: {: } \: \\ s_{n1} \; s_{n2} \; {…} \: s_{nn} \: \end{pmatrix}

 

このように表現される行列Sのことを分散共分散行列といいます。左上から右下にかけての対角は株式1からnまでの分散になっています。それ以外はそれぞれの共分散となっていますが、s_{ij} = s_{ji}となることに注意してください。

 

以上のベクトルと行列を使って、ポートフォリオの分散を示したのが以下の式になります。

 

 \displaystyle {s_p}^2= ( {w_1} \; {w_2} \; {…} \: {w_n} \:)\begin{pmatrix} s_{11} \; s_{12} \; {…} \: s_{1n} \: \\ s_{21} \; s_{22} \; {…} \: s_{2n} \: \\ {:} \; {: } \; {…} \: {: } \: \\ s_{n1} \; s_{n2} \; {…} \: s_{nn} \: \end{pmatrix} \begin{pmatrix} {w_1} \\{w_2} \\ {:} \\ {w_n} \end{pmatrix}

 

=W^TSW

 

以上がポートフォリオの平均リターンや分散をベクトルと行列で表す方法です。ベクトルや行列がなにを示しているのかさえ理解していれば難しくなく、むしろ直観的に数式もわかるようになったと思います。

 

ここでベクトルや行列を使って効率的フロンティアの導出を定義してみましょう。

 

  • 効率的フロンティアの導出

目的関数(ポートフォリオの分散を最小化する):

{ \displaystyle \begin{equation} \min_{W}W^TSW \end{equation} }

 

制約条件:

k=W^TR
kは最小分散ポートフォリオのリターンと、投資機会集合の最大リターンの間のあらゆる値をとる。)

 

Wの各要素について

w_i≧0,1~n
空売りを認めない)

 

W^T\boldsymbol{1}=1
\boldsymbol{1}は全ての要素が1のベクトル。投資比率の合計が1を示す。)

 

 さらにシンプルに表現すると以下のようになります。

 

  • 効率的フロンティアの導出
{ \displaystyle \begin{equation} \min_{W}W^TSW \end{equation} }

 

s.t.
k=W^TR
w_i≧0,1~n
W^T\boldsymbol{1}=1

 

一見、なにを書いているのかわかりづらいと思いますが、一つ一つ数式の意味をかみ砕いていくとそこまで難しいことはいっていません。

制約条件(最大となるリターンを選ぶ、空売りを認めない、すべての保有資産を投資に使う)を満たす中で、ポートフォリオの分散を最も小さくせよ、といっているのです。

 

{ \displaystyle \begin{equation} \min_{W} \end{equation} }」はポートフォリオの分散についてWを操作したうえで最小化せよ、というのを示しいます。

s.t.」というのは英語の"subject to~"の略称で「~の制約の下で」という意味があります。

 

どうでしょうか?ベクトルや行列の意味が分かれば複雑な数式も簡潔に表現できることが実感できたと思います。特に統計学計量経済学機械学習など大量のデータを扱って計算をする学問ではベクトルや行列を扱う線形代数の知識が必須になってきます。

 

次回は今回学んだことを活かしつつ、複数の資産で構成されたポートフォリオについて実際に分析していきたいと思います。

元利均等返済の毎回返済額

元利均等返済と元金均等返済

元利均等返済とは名前の通り、利息を含め毎回同じ金額を返済することを言います。住宅ローンや自動車ローンなどの消費者ローンは元利均等返済がよく使われます。毎月の返済額が同額なので、毎月の収支計画も立てやすくなるというメリットがあります。

 

元利均等返済とは別に元金均等返済というものがあります。これは毎月の元本返済額が同じで、その元本返済額に追加で利息も返済していくというものです。利息は元本に対してつくものなので、返済していけばしていくほど毎回返済する利息は減っていき、毎月の返済額も減っていきます。返済額が毎回違うので初めのほうは利息も含めた返済額が大きくなってしまうことに注意しなければいけません。しかし、支払利息の総額は元利均等返済よりも元金均等返済のほうが少なくなるというメリットがあります。事業で使われる運転資金や設備投資の借入などで元金均等返済が利用されます。

 

元利均等返済の毎回返済額の導出

今回は元利均等返済の毎月の返済額を導出していきます。

 

合計借入額A円を利率rで借入れ、毎回返済額x円でn回で完済するとき、毎回の借入残高は以下のように表現できます。

 

1ヶ月後の残高

 

(1+r)×A-x

 

 

2ヶ月後の残高

(1+r)×(1ヶ月後の残高)-x
=(1+r)×((1+r)×A-x)-x
=(1+r)^2×A-(1+r)×x-x

 

 

3ヶ月後の残高

 

(1+r)×(2ヶ月後の残高)-x
(1+r)^3×A-(1+r)^{3-1}×x-(1+r)^{3-2}×x-x

 

 

 nヶ月後の残高

 

(1+r)^n×A-(1+r)^{n-1}×x-(1+r)^{n-2}×x-・・・-(1+r)^{1}×x-(1+r)^{0}×x

 

 

ここで、 「nヶ月後の残高」の式の

 

-(1+r)^{n-1}×x-(1+r)^{n-2}×x-・・・-(1+r)^{1}×x-(1+r)^{0}×x

 

の部分について等比数列の和の公式を使います。すると、

 

-(1+r)^{n-1}×x-(1+r)^{n-2}×x-・・・-(1+r)^{1}×x-(1+r)^{0}×x

 

=-x\displaystyle{\sum_{i=0}^n (1+r)^i}

 

=-\frac{x(1-({1+r})^n)}{1-({1+r})}

 

=-\frac{x({({1+r})^n-1})}r

 

となる。これをもとの式にもどすと

 

(1+r)^n×A-\frac{x({({1+r})^n-1})}r

 

となります。この式は「nヶ月後の残高」です。したがって、はじめにn回で完済するといっていた通り、残高は「0」になっているはずです。つまり、

 

(1+r)^n×A-\frac{x({({1+r})^n-1})}r=0

 

この式から求めたかった、毎回返済額であるxについて解いていきます。

 

\frac{x({({1+r})^n-1})}r=(1+r)^n×A

 

x=(1+r)^n×A×\frac{r}{({1+r})^n-1}

 

x=A×r×\frac{(1+r)^n}{({1+r})^n-1}   ▢

 

 上記の式が元利均等返済の毎回返済額です。

 

実際の計算

試しに具体的な数字で計算してみましょう。

 

「借入金額100万円、金利3%、返済期間5年にて借入したとする。元金均等返済で毎月返済する場合、毎回の返済はいくらになるか求めよ。」

 

毎月返済なので金利0.03÷12=0.0025、5年なので返済回数は60回となります。したがって、先ほどの式に代入していくと

 

1,000,000×0.0025×\frac{(1+0.0025)^{60}}{({1+0.0025})^{60-1}}

 

2,500×7.1874…=17,968

 

つまり、毎回17,968円ずつ返済することになります。

ちなみに支払利息の総額は

 

17,968円×60回-1,000,000=78,080

 

と計算できます。

現代ポートフォリオ理論の実践【2/2】

今回は以下の記事の続きです。

 

dic-eft-sr3.hatenablog.com

 

それでは、実際のデータを使ってポートフォリオを作っていきましょう。

今回は株式会社イグニスというマザーズ上場の小型株と日経225に連動するインデックスファンドの2つでポートフォリオを作っていきます。もちろん、構成比は現代ポートフォリオ理論に基づき求めます。

具体的に以下の3ステップで進めていきます。

  1. 過去のデータからイグニスと日経225リターンとリスクを求める
  2. 2つの資産によるさまざまな組入比率でのポートフォリオを作成し、それぞれの組入比率によるポートフォリオ自体のリターンとリスクを計算していく
  3. 「2」で計算したそれぞれの構成比率の中から最適なものを求める

なお、この記事の分析については石野雄一著『道具としてのファイナンス』を参考にしています。

 

ステップ1:それぞれのリターンとリスクを求める

はじめに今回使用するデータについて説明しておきます。株式会社イグニスおよび日経225の株価は楽天証券のMarketSpeedより2015年1月から2020年12月の月次データを使用します。それぞれの平均リターンやリスクは以下のようになりました。イグニスはリターンが高いが、リスクは大きなハイリスク・ハイリターンです。それに対し、日経225はイグニスに比べリターンもリスクも低く、ローリスク・ローリターンであることがわかります。

 

  イグニス 日経225
平均リターン 3.13% 0.75%
分散 0.1216 0.0027
リスク(標準偏差) 34.88% 5.17%

 

 

ステップ2:ポートフォリオのリターンとリスクを求める

続いてイグニスと日経225で構成されるポートフォリオのリターンとリスクを様々な構成比率で求めていきましょう。一般的に株式Aと株式Bにより構成されるポートフォリオの平均リターンと分散の計算式は以下の通りです。

 

 

平均リターン

E({R_p})={W_A}{E({R_A})}+{W_B}{E({R_B})}={W_A}{E({R_A})}+(1-{W_A}){E({R_B})}

 

分散

V({R_p})={W_A}^2{V({R_A})}+{W_B}^2{V({R_B})}+2{W_A}{W_B}Cov({R_A},{R_B})

 

イグニスと日経225の共分散は0.0044で、相関係数は24.79%でした。これらの数値から実際に様々な構成比率での平均リターンやリスクをまとめた表が以下になります。

 

イグニスの
組入比率
平均リターン 分散

リスク

(標準偏差)

0% 0.75% 0.0027 5.17%
10% 0.99% 0.0042 6.46%
20% 1.23% 0.0080 8.93%
30% 1.47% 0.0141 11.88%
40% 1.71% 0.0225 15.01%
50% 1.94% 0.0333 18.24%
60% 2.18% 0.0463 21.52%
70% 2.42% 0.0617 24.84%
80% 2.66% 0.0794 28.17%
90% 2.90% 0.0993 31.52%
100% 3.13% 0.1216 34.88%


 また、縦軸が平均リターン、横軸がリスクのグラフに構成比率を1%ずつ変化させていったときの関係を表しました。

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図1:ポートフォリオの平均リターンとリスク

 現代ポートフォリオ理論の参考書では以下のように顕著にカーブを描いているものが例として使われています。

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図2:参考書でみるポートフォリオのグラフ

ではどうして、実際のデータからは図2のような大きなカーブを描かなかったのでしょうか?

原因の一つとして相関関係がそこそこ高かったことが挙げられます。今回使ったデータでの相関係数は24.79%でした。前回、数式から解説したようにポートフォリオの分散は低ければ低いほど小さくなります。つまり、負の相関関係があればあるほどポートフォリオ効果が働き、リターンを維持しつつリスクを抑えるポートフォリオを構成することができるのです。

また、イグニスと日経225ではリターンとリスクを評価すると全体して日経225がイグニスに比べ、大幅に効率的であることも原因の一つとして考えられます。評価の方法については次の節で解説したいと思います。

 

ステップ3:最適な構成比率を求める

 最後にポートフォリオの最適な構成比率を求めていきましょう。そもそもポートフォリオを構成するにあたって最適とはどのような状態のことを言うのでしょうか?

 

それはもちろん、リターンが大きくてリスクが小さくなると投資家にとって(少なくとも私にとっては)よりうれしくなります。図1や図2のグラフでは左上に行けば行くほどうれしくなります。ちなみに私のようなリターンが同じであれば、できるだけリスクを最小にしたいと思う人をリスク回避型といいます。世の中にはリスクにこだわらないリスク中立型や、むしろリスクを好意的に許容するリスク愛好型の人たちもいるでしょう。しかし、大抵の投資家はリスク回避型で、現代ポートフォリオ理論も暗黙の了解としてリスク回避型の投資家にとって最もうれしくなるように理論立てています。

 

さて、ステップ2で様々な構成比率でのポートフォリオを作りましたが、図1でのどの点を選ぶべきでしょうか?

最低でも同じリスクであればリターンの高い方を選びます。図1で描かれている曲線は全額投資したうえでの、構成比率となっています。その中でもリスクが同じでもリターンが2種類以上とれる点があります。それならリターンが大きい点を選ぶのが良いといえます。また、曲線上でなくても図3の点pのようなポートフォリオを作れることは作れるのですが、同じ理由で結局曲線上の上の部分がリターンが大きくなります。このように、図3の太線の部分を「効率的フロンティア」と呼びます。

 

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図3:効率的フロンティア

効率的フロンティア上に最適な構成比率があることはわかったが、さらにここから最適な点を選んでいきましょう。そこでいきなりですが、リスク・フリーレートというものを考慮していきます。

リスク・フリーレートとは名前の通り、リスクがない資産のことです。多くの場合、10年物の国債が使われます。2020年12月時点の10年物国債のレートは0.045%です。つまり、リスクが全くない場合でも最低0.045%のリターンを期待できるということです。

この10年物国債ポートフォリオに加えたうえで、効率的フロンティア上で10年物国債の比率が0になる点が最適な構成比率のポートフォリオとされています。また、リスク・フリーレートと効率的フロンティアが接する点で結ばれている線を「資本市場線」と呼ばれています。(図4参照)

 

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図4:資本市場線と最適なポートフォリオ

資本市場線はx軸をリスク、y軸をリターンとした座標での一次関数です。

一次関数は一般的に

 

y=ax+b

 

という式で表します。bのことを切片といいますが、資本市場線ではリスク・フリーレートがそれにあたります。また、aは傾きですが資本市場線では

 

\frac{ポートフォリオの平均リターン-リスク・フリーレート}{ポートフォリオのリスク}

 

になります。これをまとめると資本市場線は

 

y=\frac{ポートフォリオの平均リターン-リスク・フリーレート}{ポートフォリオのリスク}x+リスク・フリーレート

 

と書くことができます。

 

何度も言うように最適なポートフォリオとは、リスクを抑えたうえで最もリターンを享受できるものを言います。したがって、以下のように計算する値が大きければ大きいほどポートフォリオとして優秀であると評価できます。

 

\frac{ポートフォリオの平均リターン-リスク・フリーレート}{ポートフォリオのリスク}

 

この値のことをシャープレシオといいますが、これが資本市場線の傾きであることがわかります。結局、このシャープレシオが最大となる値を求めることが、資本市場線と効率的フロンティアの接点を求めることになります。

 

それでは、実際のデータではどのような結果になるのでしょうか?Excelのソルバー機能で求めてみましょう。

 

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図5:シャープレシオと最適な構成比率

 

図5がシャープレシオと最適な構成比率の計算結果です。

結果としては日経225に9割ほど投資することが最適な構成比率となりました。

 

この結果からやはりインデックスファンドの優秀さを実感しました。投資家のバイブル本でもあるバートン・マルキール著『ウォール街のランダムウォーカー』でもインデックスファンドへの長期投資が最適であると述べていました。

 

今回の分析からインデックスファンドへの積み立て投資を今後もしっかり続けていきたいと思いました。また、個別株に手を出すのは控えようと思います。

仮に買うとしても決算書や企業の経営について入念に分析して、絶対の自信があるときだけにします。株主優待や配当を目的に個別株を買う人も多いと思います。そんな人たちはインデックスファンドへの投資よりも、その配当や株主優待のほうがメリットがあるという根拠も持ったうえで投資していきましょう。

現代ポートフォリオ理論の実践【1/2】

はじめに

毎月3万円、インデックスファンドに積み立て投資しています。株価は右肩上がりで資産は順調に増加しています。しかし、あくまでもインデックスファンドなので、リスクが小さく、リターンもそれほど大きくありません。

 

よくばりな私は少し物足りなさを感じたので、多少お金が貯まったタイミングで個別株を買ってしました。しかも一部上場しているような大企業ではなく、株式会社イグニスというマザーズに上場しているIT系の小型株です。どうせ個別株を保有するのなら、今持っているローリスクローリターンのインデックスファンドとは真逆であるハイリスクハイリターンのほうが面白いと思い購入に至りました。実際に保有してわかるのですが、毎日大きく株価が動きく変動しています。

 

リスクを避けたいという動機から積み立て投資でインデックスファンドを保有しているのですが、リターンも高くしたいという気持ちもあるので小型の個別株にも投資していしまいました。株式投資でのリスクとリターンは二律背反で、あちらが立てばこちらが立たずという関係になっています。つまり、リスクを抑えたければ、低いリターンで我慢するしなければいけません。その逆に、大きなリターンを得たければ、大きなリスクを許容しなければいけません。それでもよくばりでありながら小心者の私は、少しでもリスクを抑えつつ最大のリターンを得たいと思っています。そこで、今回はそんな小心者のよくばり人間の願いを数学的に解決する現代ポートフォリオについて解説していきたいと思います。

 

 

ポートフォリオのリターンとリスク

そもそのポートフォリオとは債券や株券をまとめたファイルのことを言います。それが最近では株式などのいろいろな資産の組合せという意味で使われるようになりました。現代ポートフォリオ理論とは名前の通り、ポートフォリオの組み方に関する理論です。この現代ポートフォリオ理論がすごいのは投資のリスクだけを減らして、リターンを得ることができることを数学的に証明したことです。この理論によってアメリカの経済学者であるハリー・マーコウィッツが1990年にノーベル経済学賞を受賞しました。

 

早速、この理論について説明していきたいのですがとりあえず、重要なワードを説明しておきます。

 

  • 平均リターン(期待収益率)

まず、リターンRとは現時点から将来時点における利益または損失を現時点における価格で割ったものです。

 

{R_t}=\frac{S(t)-S(t-1)}{S(t-1)}

 

このリターンが1~nまであった場合、平均リターン(期待収益率)E(R)は以下のように計算されます。

 

E(R)=\displaystyle{\frac{1}{n}}{\sum_{t=1}^{n} {R_t}}

 

 投資の世界でのリスクは株価のリターンにおける変動の大きさと定義されています。株価が下がることだけがリスクではなく、株価が上がったり下がったりして変動することがリスクとして定義されていることに注意してください。統計学ではデータのばらつきを分散または標準偏差というもので示します。

各データRから期待値であるE(R)を引いた値を偏差と言います。そして、その偏差をそれぞれ二乗し、期待値をとったものを分散といいます。標準偏差は分散の平方根をとったものです。リターンの分散V(R)は次のように計算されます。

 

V(R)=E(((R-E(R))^2)=\displaystyle{\frac{1}{n}}{\sum_{t=1}^{n}( {{R_t}-E(R)})^2}

 

さらにこの分散は式をみてわかるように、二乗されています。このことからデータの単位を合わすために平方根をとり、標準偏差sを定義します。

 

s=\sqrt{V(R)}=\sqrt{\displaystyle{\frac{1}{n}}{\sum_{t=1}^{n}( {{R_t}-E(R)})^2}}

 

  • 共分散

共分散は2変数のデータが一緒に上がったり、下がったりする相関関係の度合いを表すものです。例えば、株式Aと株式Bの株価を変数とするデータがあるとします。ある時点の株式Aの株価が上がったとき株式Bの株価も上がる(または下がる)という傾向があるかを調べるための指標です。もし、一方が上がれば、もう一方も上がるという傾向があれば、共分散は正の値になります。逆に一方が上がっているが、もう一方は下がっていれば、共分散は負の値になります。ここで、株式Aによる株価のリターンを{R_A}、平均リターンをE({R_A})とし、株式Bによる株価のリターンを{R_B}、平均リターンをE({R_B})とします。ここから共分散Cov({R_A},{R_B})は以下のように表せます。

 

Cov({R_A},{R_B})=\displaystyle{\frac{1}{n}}{\sum_{t=1}^{n} {({R_{At}}-{E({R_A})})({R_{Bt}}-{E({R_B})})}}

 

 相関係数は共分散と同じく、2変数の相関関係の度合いを示し、加えて相関関係の強さも表します。1から-1までの値をとり、1に近づけば近づくほど一方が上がれば、一方も上がるという正の相関が強いとわかります。また、-1に近づけば近づくほど、一方が上がれば、もう一方は下がるという負の相関が強いとわかります。さらに、0であれば、2変数のそれぞれのデータに相関関係がないとわかります。相関係数ρは数式としては以下のように共分散を2つの変数の標準偏差の積で割って求めることができます。

 

ρ_{A,B}=\frac{Cor({R_A},{R_B})}{{\sqrt{V(R_A)}}{\sqrt{V(R_B)}}}

 

それでは、ここからは2つの株式からなるポートフォリオの平均リターンとリスクを解説していきます。株式Aの平均リターンをE({R_A})、株式Bの平均リターンをE({R_B})とします。株式Aと株式Bからなるポートフォリオを所有していたとして、株式AをW_A、株式BをW_Bの比率(W_A+W_B=1)で組み入れたポートフォリオの平均リターンE({R_p})は次のように計算できます。

 

E({R_p})={W_A}{E({R_A})}+{W_B}{E({R_B})}={W_A}{E({R_A})}+(1-{W_A}){E({R_B})}

 

式からわかるようにポートフォリオの平均リターンは、それぞれの株式の平均リターンの加重平均となっています。

 

続いてポートフォリオのリスクを求めていきます。リスク(標準偏差)を計算するためには、先に分散を求めなければいけません。

 ここでは株式Aと株式Bという2つの株式のポートフォリオの分散を求めるにあたって、一般的に成り立つ2つの重要な性質を説明していきます。

 

1つ目の性質は個々のデータにある定数が乗算及び加算されているとき、分散が以下のようになることです。

 

V(aX+b)=a^2V(X)

 

これについては、ポートフォリオでのそれぞれの組み入れの比率W_AW_Bを考慮すべき時に必要になります。

この性質が成り立つことを証明していきましょう。ここでは分かりやすいようにE(X)=μとします。

 

V(aX+b)=E(((aX+b)-E(aX+b))^2)

 

=E({(aX+b-(aμ+b))^2})

 

=E({(aX+b-aμ-b)^2})

 

=E({(aX-aμ)^2})

 

ここで期待値の中身の部分を抜き出します。

 

(aX-aμ)^2=a^2X^2-2a^2μ+a^2μ^2

 

=a^2(X^2-2μ+μ^2)

 

=a^2(X-μ)^2

 

これをもとに戻します。

 

=E(a^2(X-μ)^2)

 

=E(a^2)E({(X-μ)^2})

 

E({(X-μ)^2})=V(X)より

 

=a^2V(X)     ▢

 

 

2つ目はそれぞれのデータを足したときの分散についての性質です。X、YのデータがあったときXとYを足したデータの分散V(X+Y)は以下のようになります。

 

V(X+Y)=V(X)+V(Y)+2Cov(X,Y)

 

 これについても証明していきましょう。ここでも同じようにE(X)=μ_xE(Y)=μ_yとします。

 

V(X+Y)=E({({(X+Y)}-{({μ_x}+{μ_y})})^2})

 

=E({(X+Y-{μ_x}-{μ_y})^2})

 

ここで期待値の中身の部分を抜き出します。

 

{(X+Y-{μ_x}-{μ_y})^2}

 

=X^2+2XY-2Xμ_x-2Xμ_y+Y^2-2Yμ_x-2Yμ_y+{μ_x}^2+2{μ_x}{μ_y}+{μ_y}^2

 

=(X^2-2Xμ_x+{μ_x}^2)+(Y^2-2Yμ_y+{μ_y}^2)+2(XY-Xμ_y-Yμ_x+{μ_x}{μ_y})

 

=(X-{μ_x})^2+(Y-{μ_y})^2+2(X-{μ_x})(Y-{μ_y})

 

これをもとに戻します。

 

=E({(X-{μ_x})^2+(Y-{μ_y})^2+2(X-{μ_x})(Y-{μ_y})})

 

=E({(X-{μ_x})^2})+E({(Y-{μ_y})^2})+2E({(X-{μ_x})(Y-{μ_y})})

 

E({(X-{μ_x}})^2)=V(X)E({(Y-{μ_y}})^2)=V(Y)E({(X-{μ_x})(Y-{μ_y})})=Cov(X,Y)より

 

=V(X)+V(Y)+Cov(X,Y)            ▢

 

この式からわかるようにXとYの共分散がプラスになれば分散は大きくなり、逆に共分散がマイナスになっていくほど全体としての分散は小さくなります。この性質が現代ポートフォリオ理論で大きな肝となってきます。

 

これら2つの性質を使い株式Aと株式B、2つの株式からなるポートフォリオの分散は以下のようになります。

 

V({R_p})={W_A}^2{V({R_A})}+{W_B}^2{V({R_B})}+2{W_A}{W_B}Cov({R_A},{R_B})

 

先ほども言ったとおり、共分散であるCov({R_A},{R_B})がマイナスになればなるほどリスクが小さくなります。直感的にも、株価が一方が上がれば一方が下がるという負の相関関係がある2つの株式の組合せであれば、お互いの株価変動が相殺されることがわかります。

これがリターンが変わらないにもかかわらず、リスクを減らすことができる種明かしとなります。

 

ちなみに共分散はあくまでも相関の傾向がわかるだけの指標であって、相対的に相関関係がどれほどなのかを調べるには、相関係数を計算する必要があります。

 

続いてポートフォリオを構成するにあたって、重要になってくるのがそれぞれの株式の構成比です。どのような構成比でポートフォリオを作るのが投資家にとって最適なのか?このことについては、次回実際のデータを使って説明していきたいと思います。

数学的にみた積み立て投資

積み立て投資とは、一定の金額(または株の数量)を同じ間隔で、長期間にわたって同じ投資対象を買い続ける投資方法です。

 

積み立て投資は「いつ」、「どこに」、「いくら」投資するのか自動的に決まっているので、投資手法としては非常に単純明快です。特に投資初心者におすすめの投資手法として推進されることが多いです。

 

国も積み立て投資を推進していて、2018年から投資で得られた売却益(譲渡益)や分配金は非課税の対象となる「つみたてNISA」という制度が開始されました。

 

今ではネットで簡単に、しかも無料で証券口座を開設して、非課税で投資できます。これを機に始められている方も多いのではないでしょうか?

また、まだ始めていなくても興味がある方もいると思います。

 

でも今はコロナで業況が不安定で、今後もどうなるか分からないという状況…

元本割れのリスクのある投資はやっぱり不安と思ってなかなか始められない気持ちもあると思います。

 

そんな方に向けて、今回は積み立て投資について数学的な見解も含めながら解説していきます。

 

もちろん最終的な意思決定は読者自身で行ってください。この記事はあくまでも客観的な事実を述べているだけです。今後の投資への参考というよりは、むしろ知的好奇心の一助となればと思っています。

 

 

1.ドルコスト平均法

 まずは「ドルコスト平均法」について解説します。

ドルコスト平均法は積み立て投資のなかでも最も主流な方法といってもいいでしょう。

 

ドルコスト平均法とは、一定の金額を同じ間隔に、長期間にわたって同じ投資対象を買い続ける投資方法です。

 

実際に私自身ドルコスト平均法を実践しています。

具体的には、つみたてNISAで日本、アメリカ、全世界の三つのインデックスファンドにそれぞれ毎月1万円の計3万円を投資しています。

 

この投資手法のメリットは、リスクをかなり減らすことができることです。

 

どういうことかというと、同じインターバルで継続的に株式に投資します。なので、すべて高値で取得してしまうことを避けることができることができるのです。

高値の取得を避けれるということは、大きく価格が下がることが少なくなります。

 

株式の相場はもちろん変動します。ほとんどの場合、株式を買うタイミングが異なれば取得できる取得価格も異なります。

 

仮にある時に一括購入で株式を取得した場合、その時の取得価格にすべて依存してしまします。それによってリスクが高くなってしまいます。

 

それに対してドルコスト平均法は、取得する時期が一定の期間になっていて、株式の一口あたりの取得価格も変わってきます。

購入する金額は同じなので、株価が下がっているときは多くの株数を取得でき、上がってしまってるときは少ししか取得できません。

 

株式投資の基本原則は安く買って、高く売るです。

ドルコスト平均法ではこの原則を機械的に実行することができるのです。

 

もちろんデメリットもあります。

 

右肩上がりの相場で十分な資金があるときは、初めから一括購入していたほうが最も得をします。十分な資金があり、株価が上がっていく相場であればドルコスト平均法は最適な投資手法とは言えません。

 

ドルコスト平均法は毎回一定金額の株式を購入する方法です。それに対して毎回一定株数を購入する方法もあります。

実はこの定額購入と定数購入、平均購入単価が異なります。次の章で具体的にそれぞれの平均購入単価を計算行い、どちらのほうが割安で購入できるのか解説していきます。

 

2.一口あたりの平均購入単価の比較

 まずは以下の表1を見てください。

 

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表1.定額購入の平均購入単価(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))

 

これは私が実際に投資している「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の令和2年2月から8月までの実績です。

これを参考に1口あたりの平均購入単価を計算してみます。すると、以下のように計算できます。

 

平均購入単価=\frac{購入金額(円)}{保有数量(口)}

=\frac{70,000}{63,854}

≒1.0963

 

したがって、1万口あたりの平均購入単価は10,963円だとわかります。

この計算を一般化してみましょう。

 

購入金額をx、投資回数をn、一口あたりの単価をa_k(k=1,2,…n)とおきます。

 

すると第1回目購入時に取得できる口数は以下のように計算します。

 

\frac{x}{a_1}(口)

 

さらに、これを第n回まで買い続けるので、合計の保有数量は

 

\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}(\frac{x}{a_k})}

 

となります。

平均購入単価=\frac{購入金額(円)}{保有数量(口)}より、

 

\frac{nx}{\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}(\frac{x}{a_k})}}

 

=\frac{nx}{\displaystyle{x\sum_{k=1}^{n}(\frac{1}{a_k})}}

 

=\frac{n}{\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}(\frac{1}{a_k})}}・・・①

 

以上のように計算されることがわかります。この式①は調和平均の計算になっています。

 

後ほど解説しますが、このことが非常に重要になってきます。

 

次に比較のために定量購入をした場合の平均購入単価も計算してみましょう。

 

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表2.定量購入の平均購入単価(eMAXIS Slim 米国株式(S&P500))

 

ここでは毎回1万口を定量購入する場合でシミュレーションしてみました。

早速、平均購入単価を計算します。

 

平均購入単価=\frac{購入金額(円)}{保有数量(口)}

=\frac{77,398}{70,000}

≒1.1057

 

したがって、1万口あたりの平均購入単価は11,057円だとわかります。

この計算を一般化してみましょう。

 

購入数量をy、投資回数をn、一口あたりの単価をa_k(k=1,2,…n)とおきます。

 

すると第1回目購入時に取得できる口数は以下のように計算します。

 

a_1y

 

さらに、これを第n回まで買い続けるので、合計の購入額は

 

\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}a_ky}

 

となります。

平均購入単価=\frac{購入金額(円)}{保有数量(口)}より、

 

=\frac{\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}a_ky}}{ny}

 

=\frac{y\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}a_k}}{ny}

 

=\frac{\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}a_k}}{n}・・・②

 

以上のように計算されることがわかります。この式②は算術平均の計算になっています。

 

ここまで計算してきたようにそれぞれの平均購入単価は1万口あたり

 

定額購入:10,963円

定量購入:11,057円

 

となり、定額購入のほうが割安で取得できていることがわかります。

 

さらにそれぞれの平均購入単価を計算する方法は

 

定額購入:調和平均

定量購入:算術平均

 

となっていました。

 

実は調和平均が算術平均よりも大きくなることは絶対にありません。

 

このことは数学的に証明されています。

つまり、定額購入(ドルコスト平均法)は定量購入よりも必ず低い平均購入単価で取得することができるのです。

 

しかし、この記事を書いてる時点では(令和2年8月15日)上記二つの投資手法での評価損益は定額購入のほうが高くなっています!

現在の基準価格が12,363円なので、それぞれの評価損益は

 

評価損益=保有口数×一口あたりの時価評価額-合計購入額

 

と計算されるので

 

定額購入(ドルコスト平均法

68,854×1.2363-70,000=8,943(円)

 

定量購入

70,000×1.2363-77,398=9,143(円)

 

となっています。当たり前といえば当たり前といえます。右肩上がりの相場で保有してる口数が多ければ多いほど利益が出るからです。

 

その代わり、株価が下がってしまったときは定量購入のほうが大幅に下がります。

 

リスクとは下がることもあれば上がることもあるという、株価の変動のことを言います。

ドルコスト平均法のメリットは投資のリスクを抑えることです。

 

ドルコスト平均法のほうが大きく儲かるというわけではありません。

 

どんな投資方法にもメリット・デメリットがあります。そして、そのメリット・デメリットをしっかりと理解して、自分に合った投資方法を選んでいくことが大切だということです。

資金計画を立てる際の係数

ファイナンシャルプランナー試験をしていると、試験範囲のなかで「資金計画を立てるさいの6つの係数」というものがありました。

 

  1. 終価係数
  2. 現価係数
  3. 年金終価係数
  4. 減債基金係数
  5. 資本回収係数
  6. 年金現価係数

 

はじめこれらの言葉をみても何のことか全然わかりませんでした。しかし、解説を読んでいるとなかなか便利なものだと思いました。

 

そもそも係数とは

一個以上の変数の積にかかっている定数。更に広く、ある現象の法則性が一定の数式で表される場合、それで算定される数値(やその算定式)。

 と定義されています。

数学でいえば2xでxに注目したときの"2"にあたります。

xは変数でいろいろな値に変化して、"2"は定数で常に同じ値です。

例えば3や7の倍の値を知りたい場合、2xのxに3や7を代入すると6や14という値を求めることができます。

つまり、ある求めたい値があったとき、その値を求めるために乗算する定数のことです。

 

この6つの係数、ファイナンシャルプランナーの試験では係数表というものがあって、そこに記載されている数字を使って具体的な金額を求めていきます。なので、係数自体を計算する必要はありません。どちらかというと、その係数をどうやって使えばいいのかを理解しておかなくてはいけません。

 

 

それでも、この係数自体はどうやって求めるの?と疑問に思う方もいると思います。

そこでこの記事ではそれぞれの係数の意味に加え、係数自体の具体的な計算方法と一般化を解説していきたいと思います。

 

 

1.終価係数

現在の金額を複利で運用した場合の、一定期間後の金額を求める場合に用いる係数

 例:100万円を年利2%で運用した場合の5年後の金額はいくらか?

 

100万円を1年運用すると

 

1,000,000×1.02=1,020,000(円)

 

になります。続けてこの102万円も同じようにさらに1年運用すると

 

1,000,000×1.02×1.02=1,040,400(円)

 

となり、5年後には

 

1,000,000×1.02^5=1,104,100(円)

 

になります。

終価係数は1.02^5=1.1041です。

ここで元本である100万円をA、利率2%をr、運用年数5年をnとすると終価係数は以下の式で求めることができます。

 

A×(1+r)^n・・・①

 

2.現価係数

一定期間後に一定金額に達するために必要な元本を求める場合に用いる係数

 例:年利2%で5年後に100万円を用意するためには、元本がいくら必要か?

 

先ほど求めた終価係数の式①を使うと以下の式で求めることができます。

 

A(1+0.02)^5=1,000,000

 

この式のAが求めたい元本なのでAについての式にしましょう。

 

A=1,000,000×\frac{1}{(1+0.02)^5}

 

1,000,000×0.9057=905,700(円)

 

と計算できます。現価係数は0.9057です。

ここで達成したい金額である100万円をA、利率2%をr、運用年数5年をnとすると現価係数は以下の式で求めることができます。

 

\frac{A}{(1+r)^n}・・・②

 

3.年金終価係数

毎年一定金額を積み立てた場合の、一定期間後の元利合計を求める係数

 例:年利2%、毎年20万円を5年間積み立てた場合の5年後の金額はいくらか?

 

現在20万円積み立てたとして、1年目の元利合計は

 

200,000×1.02=204,000(円)

 

になります。ここにさらに20万円積み立てるので合計404,000円です。

続いて2年目の元利合計額は以下のように計算されます。

 

200,000×1.02^2+200,000×1.02+200,000=612,080(円)

 

この計算を5年目まで続けると

 

200,000×1.02^5+200,000×1.02^4+200,000×1.02^3

+200,000×1.02^2+200,000×1.02^1+200,000×1.02^0

 

=\displaystyle{200,000\sum_{k=0}^{4}1.02^k}

 

累上の和の公式から

 

 =200,000×\frac{1.02^5-1}{0.02}

 

 =200,000×5.2040=1,040,800(円)

 

ここで毎月の積立金額である20万円をx、利率2%をr、運用年数5年をnとすると年金終価係数は以下の式で求めることができます。

 

x×\frac{(1+r)^n-1}{r}・・・③

 

 

 

4.減債基金係数

一定期間後に一定金額を用意するための、毎年の積立額を計算するための係数

 例:年利2%、5年後に100万円を用意するには毎年いくら積み立てる必要があるか?

 

 式③から毎月の積立額をxとして、金利rに0.02、運用年数nに5を代入して以下のように式を作ります。

 

\displaystyle{x\sum_{k=0}^{4}1.02^k}=1,000,000

 

この式をxについて解いていきます。

 

 

x×\frac{1.05^5-1}{0.02}=1,000,000

 

x=1,000,000×\frac{0.02}{1.05^5-1}

 

x=1,000,000×0.1922=192,200(円)

 

ここで達成したい金額である100万円をA、利率2%をr、運用年数5年をnとすると減債基金係数は以下の式で求めることができます。

 

 

A×\frac{r}{(1+r^n)-1}・・・④

 

 

5.資本回収係数

現在の一定金額を一定期間で取り崩した場合の、毎年の受取額を計算するための係数

 例:100万円を年利2%で運用しながら5年間で取り崩した場合の毎年の受取額はいくらか?

 

現在100万円あり、1年後は2%の金利が付き、そこからx円取り崩して受け取ります。

 

1年目

1,000,000×1.02-x

 

2年目は残高1,000,000×1.02-x金利2%がつき、そこからx円取り崩して受け取ります。

 

 2年目

(1,000,000×1.02-x)×1.02-x=1,000,000×1.02^2-1.02x-x

 

3年目、4年目も同じように計算し、5年目は以下のようになります。

 

5年目

1,000,000×1.02^5-\displaystyle{x\sum_{k=0}^{4}1.02^k}

 

5年目には0円になるはずなので、以下の式からxについて解けばいいことになります。

 

1,000,000×1.02^5-\displaystyle{x\sum_{k=0}^{4}1.02^k}=0

 

1,000,000×1.02^5-x×\frac{1.05^5-1}{0.02}=0

 

x×\frac{1.05^5-1}{0.02}=1,000,000×1.02^5

 

x=1,000,000×1.02^5×\frac{0.02}{1.05^5-1}

 

x=1,000,000×0.2122=212,200(円)

 

ここで取り崩していく金額100万円をA、利率2%をr、運用年数5年をnとすると資本回収係数は以下の式で求めることができます。

 

A×(1+r)^n×\frac{r}{(1+r)^n-1}・・・⑤

 

 

6.年金現価係数

将来一定期間にわたって一定金額を受け取るために必要な元本を計算するための係数

 例:5年間にわたって20万円ずつ受け取る場合、年利が2%のとき、必要な元本はいくらか?

 

式⑤から毎月の積立額を20万円として、金利rに0.02、運用年数nに5を代入して以下のように式を作ります。

 

 A×1.02^5×\frac{0.02}{1.02^5-1}=200,000

 

この式からAについてといていきましょう。

 

 A=200,000×\frac{1}{1.02^5}×\frac{1.02^5-1}{0.02}

 

A=200,000×\frac{1}{1.02^5}×\frac{1.02^5-1}{0.02}

 

A=200,000×4.7135=942,700(円)

 

ここで取り崩していく金額20万円をx、利率2%をr、運用年数5年をnとすると年金現価係数は以下の式で求めることができます。

 

x×\frac{1}{(1+r)^n}×\frac{(1+r)^n-1}{r}・・・⑥

 

 

 

 

 

 

 

参考文献

  • 滝澤ななみ著 (2019)『2019-2020年版 みんなが欲しかった! FPの教科書 3級』 TAC株式会社