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ロケット方程式

 

 

2021年1月26日、衝撃的なニュースが飛び込んできました。

 

rocket.tenga.co.jp

 

 

なんと株式会社TENGAがロケット打ち上げに挑戦するのです!

 

定期的にTENGAのホームページをチェックをしているので、1月26日以前に重大発表を告知していたのは知っていました。しかし、今回も新商品か黄金TENGA*1ダンベTENGA*2みたいなネタ商品?の発表かと思っていましたが、今回の発表はロケットの打上角度のごとく予想の斜め上をいかれました。

 

株式会社TENGAのような(少なくとも僕にとっては)身近な企業が、高度な技術や多額の費用が必要だったロケット開発に挑戦することは非常に素晴らしいと思っています。今まで限定された人しかできなかったことに民間企業が挑戦でき、宇宙開発への可能性を広げていることを多くの人に知ってもらえるからです。

発表の会見をみていてみるとわかるのですが、プロジェクトのメンバーである稲川氏のインターステラテクノロジズ株式会社はまさに、その信念を大切にしているとわかります。今回の会見で稲川氏は「みんなのロケット」を価値観を掲げていて、今回のプロジェクトもその延長線上にあります。

 

私は宇宙が大好きです。なのでこのプロジェクトを人一倍応援しています。

宇宙には小さいころから憧れがあり、今でもISS*3が上空を通過するのを見に行ったり、宇宙に関する映画や漫画をよくみています。初めてのデートもプラネタリウムに行きました。

私のブログは数学をテーマにしているので、今回の記事ではロケット打上に関連して、ロケット方程式ともいわれている「ツィオルコフスキーの公式」を簡単に解説していきます。この公式は微分方程式が使われています。微分方程式は経済学や金融工学などでも使われています。今後、微分方程式を使った金融モデルも解説していきたいので今回の記事はそのウォーミングアップとして読んでいただければと思います。

 

ちなみにTENGAも大好きです。

TENGAについては高校生のころから社会人になった現在でも愛用しています。最近は図1のように穴の開いたクッションにTENGAを挟み込み、固定した状態で自ら腰を振って行為を嗜んでいます。この方法は本番での練習にもなります。また、体力や準備に手間がかかるので*4労力がかかる分、自慰行為に対しても覚悟を持って取り組むことができます。

 

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図1 使用後処理するのが面倒で放置されたクッションに挟まれたTENGA

 

この使用方法はオナニストには有名で、Amazonでこのクッションを調べると明らかにこの使用方法を示唆させる関連商品が出てきます。

 

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図2 ヒップスベーグルクッションの関連商品

 

本来のクッションを座るために使うという常識から、自慰行為へ開放させたはじめてのオナニストは、TENGAが大切にしている 

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というスローガンを体現したと言っても過言ではありません。

是非皆さんも試してみてはいかがでしょうか。

 

話が盛大にそれてしまいましたが、ツォルコフスキーの公式について解説していきます。

 

ツォルコフスキーの方程式

ツォルコフスキーの方程式ではロケットを発射してから燃料をすべて噴射したとき、最終的にこのロケットはどれほどの速度に達するのかがわかります。

 

具体的に考えていきましょう。

燃料が燃焼してロケットが加速されればされるほど、ロケットの質量mが小さくなります。さらに、燃料の噴射速度が大きいほど加速が有効なこともわかります。結局、ロケットの最終速度は燃料がなくなる瞬間に達成されます。

 

燃料ガスを噴射し質量を減少させながら飛行する現実的なロケットの運動量について考えます。時刻tでのロケットの質量と速度をそれぞれmvとすると、次の瞬間(t+Δt)の質量を速度はどうなるでしょうか?

ある短い時間Δt内にロケットは燃料を質量Δmだけ燃やして後方に速度uで噴射すると仮定します。すると、時刻t+Δtでのロケット本体の質量はm-Δmとなります。

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図3 ロケットの運動の様子

 同時に燃やした質量Δmの燃料をロケット本体から後方に噴射した反動でロケットの速度がv+Δvまで加速されるとします。すると、時刻t+Δtでのロケット本体の運動量は質量m-Δmと速度v+Δvを掛けて、次のようになります。

 

(m-Δm)(v+Δv)

 

運動量保存則*5を利用するために、後ろに噴射された燃料(質量Δm)の運動量も考慮します。

燃料は高温ガスとなり、速度-uでロケットの推進方向と逆に噴射されます。このとき、噴射ガスの運動量は-uΔmです。したがって、時刻t+Δtでのロケットと噴射ガスの運動量を合計すると全体の運動量が出ます。そして、それは時刻tでのロケット運動量mvに等しいので

 

(m-Δm)(v+Δv)-uΔm=mv

 

mv+mΔv-vΔm-ΔmΔv-uΔm=mv

 

微小変化量を2個掛け合わせた2次の項ΔmΔvは他の項より小さいので無視して

 

mΔv-vΔm-uΔm=0\tag{1}

 

さらにまとめると

 

mΔv-(v+u)Δm=0

 

となります。ここで新たにv+u=-Vと置けば結局式(1)は

 

mΔv=-VΔm\tag2

 

となります。このVは速度-uで離れていく燃料を速度vで飛ぶロケット本体から見た速度となります。つまり、ロケットから見た燃料の相対速度のことです。

 

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図4 ロケットの相対速度V

 式(2)の両辺をΔvで割って Δv→0の極限をとると、差分の方程式が微分方程式になります。

 

mΔv=-VΔm

 

\frac{mΔv}{Δv}=\frac{-VΔm}{Δv}

 

m=-\frac{VΔm}{Δv}

 

-\frac{1}{V}m=\frac{Δm}{Δv}

 

\frac{dm}{dv}=-\frac{1}{V}m\tag{3}

 

式(3)の一般解を導出していきます。

 

\frac{1}{m}\frac{dm}{d{v}}=-\frac{1}{V}

 

\frac{1}{m}dm=-\frac{1}{V}d{v}

 

∫\frac{d{m}}{m}=-\frac{1}{V}∫d{v}

 

\log{|m|+C_1}=-\frac{1}{V}v+C_2

 

m=e^{-\frac{1}{V}v+C_2-C_1}

 

m=Ce^{-\frac{1}{V}v}\tag{4}

 

この式(4)にv=0,m=Mを代入すればM=Ce^0=Cが得られます。したがって、求めるべき特殊解は

 

m=Me^{-\frac{1}{V}v}\tag{5}

 

となります。式(5)はM=e^{\log{M}}と表せるので、次のように書きます。

 

m=e^{-\frac{1}{V}v+\log{M}}\tag{5'}

 

さらに式(5')をvについての関数に書き直していきます。

 

\log{m}=\log{e^{-\frac{1}{V}v+\log{M}}}

 

\log{m}=-\frac{1}{V}v+\log{M}

 

\frac{1}{V}v=\log{M}-\log{m}

 

v=V(\log{M}-\log{m})

 

v=V\log({\frac{M}{m}})\tag{6}

 

 式(6)はなにを意味しているのでしょうか。燃料が燃焼してロケットが加速されればされるほど、ロケットの質量mが小さくなります。さらに燃料の発射速度が大きいほど加速が有効となります。

結局、ロケットの残存質量はm_0なので式(6)でm_0=mとして

 

v=V\log({\frac{M}{m_0}})\tag{7}

 

 となります。この式(7)がツォルコフスキーの公式です。

質量比{\frac{M}{m_0}}はロケットの{\frac{初期質量}{最終質量}}を表します。

一般的に噴射速度Vは3㎞/s程度と言われています。また人工衛星を軌道に乗せるために必要な速度は約7.9㎞/sと知られています。

ここで、7.9㎞/sの速度を得るにはどれだけの燃料が必要か求めてみましょう。

式(7)から

 

7.9=3\log({\frac{M}{m_0}})

 

2.633=\log({\frac{M}{m_0}})

 

e^{2.633}=\frac{M}{m_0}

 

{m_0}e^{2.633}={M}

 

{m_0}=\frac{1}{e^{2.633}}M

 

{m_0}=0.072M

 

 つまり、ロケットのうち燃料以外に使える質量は全体の7.2%程度に過ぎないことがわかります。

 

まさかの最後の答えが「0.072」で「オナニー」になってしまいました。決してわざとではありません。

やはり、ロケットとTENGAには何か縁があるのかもしれません。

 

プロジェクトの成功、願っています。